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会社が嫌いなわけではない。人間関係にも大きな不満はない。それでも夜になると求人を開いて、気になったものを保存する。そんな状態を「決断できない自分の弱さ」と考えなくて大丈夫です。
電通PRコンサルティングが2026年11月4日に公表した調査では、20代の高エンゲージメント層でも33.6%に転職意向がありました。「会社が好き」と「今後もここで働きたい」は、いつも同じではないようです。
この記事の30日プランは、退職を決めるための期限ではありません。強みを使えた場面、譲れない条件、気になる求人とその理由。この3つを少しずつ書き、残る・相談する・応募を検討するための判断材料を作ります。
目次
20代の「会社は好きだけど動く」を、数字で読む

電通PRコンサルティング内・企業広報戦略研究所の「インターナル・ブランディング®調査2026」は、従業員300人以上の株式会社で働く人を対象とするインターネット調査です。2026年5月15〜21日に実施した調査全体は2,000人で、時系列比較用の20〜60代1,000人と、深掘り用に追加した20代1,000人で構成されています。この記事で扱う公表結果は、深掘り用の20代1,000人に関するものです。
高エンゲージメント層とは、自社への「信頼」「愛着」「誇り」「貢献」の4項目すべてに肯定的に回答した人です。20代の高エンゲージメント層では、できるだけ早く転職したいが8.3%、いずれは転職したいが25.3%で、合計33.6%でした。調査対象の20代全体では、それぞれ13.3%、33.2%で、合計46.5%でした。
| 調査内の対象 | できるだけ早く | いずれは | 合計 |
|---|---|---|---|
| 20代の高エンゲージメント層 | 8.3% | 25.3% | 33.6%(20代の高エンゲージメント層) |
| 調査対象の20代全体 | 13.3% | 33.2% | 46.5% |
ここでいう「全体」は、日本の20代全員ではありません。対象企業の条件があり、20〜30代男性全体の割合を示す数字でもありません。また、転職意向と実際の転職は別です。20代の高エンゲージメント層の33.6%を「3人に1人が近く辞める」と読み替えないようにしましょう。
同リリースでは、すぐに転職するつもりはなくても将来に向けて情報収集を続ける人を「ゆる転職層」という考え方で説明しています。ただし20代の高エンゲージメント層の33.6%は転職意向の合計であり、その全員が同じ活動をしているわけではありません。数字は、自分もすぐ動くべきだという圧力ではなく、気持ちが両立することを知る材料にします。
「やれてる感」は、成果自慢ではなく強みを使えた実感

調査では、現在の働き方に関する5項目と継続勤務意向の関係を分析しています。その中で最も強い正の関連があったのが「この会社で自身の強み・能力を十分に発揮できている」という実感。リリースが「やれてる感」と呼ぶものです。
大切なのは、関連が見られたという点です。メモを書けば定着できる、強みを使えば転職が成功する、と証明した研究ではありません。この記事の30日メモも、調査で効果が検証されたプログラムではなく、考えを整理するための編集部の提案です。
「強み」と言われても、特別な資格や大きな売上を探す必要はありません。会議前に論点を整理できた。問い合わせを分かりやすく説明した。引き継ぎで抜けを見つけた。自分が何をして、誰の仕事がどう進んだかを短く書きます。
同じ調査には、自社の文化を言葉で表せる人ほど、やれてる感を持つ割合が高い傾向も示されています。ただし、それも因果関係の断定はできません。「うちは相談しやすい」「早く試すことを大事にする」など、自分が見た場面を添えて書くきっかけにしましょう。
残る選択も、前向きな判断になり得ます。いまの部署で強みを使う機会を増やせるなら、上司との面談や担当業務の相談が最初の一歩になるかもしれません。転職だけを唯一の解決策にしないことが、このメモの前提です。
求人の保存が増えても、条件は自然に決まらない

気になる求人を20件保存しても、どこに惹かれたのかを言えなければ比較は難しいままです。職種名、年収表示、会社の知名度だけで選ぶと、実際にやりたい仕事や避けたい働き方が後回しになります。
YORISOIの2026年11月3日公表レポートは、マイナビ「転職動向調査2026年版」の公表割合を再集計し、転職経験1〜2回の人の構成比が2022年の51.5%から2025年の58.6%になったとしています。各年に転職した20〜50代の正社員が対象で、同じ人を追跡した結果ではありません。
これはYORISOIによる再集計です。日本の働く人全体で転職回数が増減したという話でも、「転職は2回までがよい」という基準でもありません。年齢や職種などの構成差も含まれるため、自分の回数を点数にしないようにしましょう。
情報収集を前へ進めるには、求人を集める数より、自分の理由を1行添えること。「在宅だから」だけでなく、「週2回の通勤を減らし、学ぶ時間を確保したい」のように生活と結びつけます。同じ条件でも、人によって必要な理由は異なります。
30日メモは3種類だけ。週1回から始める

1つ目は、強みを使えた場面です。週1回、1行で書きます。「何をした/どう工夫した/何が変わった」の順なら、抽象的な自己評価だけになりにくいでしょう。結果が分からない週は、試したことと次に確かめたいことを書いて構いません。
2つ目は、譲れない条件を3つ。仕事内容、働く場所、勤務時間、収入などから、自分にとって重要なものを仮置きします。「成長したい」なら何を任されたいか、「休みたい」ならどの時間を確保したいかまで具体化します。
3つ目は、気になる求人を月に2つと、それぞれの「なぜ」を1行。応募のノルマではありません。いまは募集がなくても、企業の公式採用ページで仕事内容を確認するだけでよい日もあります。会社名だけでなく、確認した日と募集ページのURLを残しましょう。
| 週 | 書くこと | 書かなくてよいこと | 時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 強みを使えた場面を1行 | 立派な自己PR全文 | 5分 |
| 2週目 | 譲れない条件を3つ | 条件の完全な順位表 | 10分 |
| 3週目 | 求人2つと気になる理由 | 応募書類一式 | 15分 |
| 4週目 | 残る・相談・応募検討の次の一手 | 退職日の確定 | 10分 |
時間は取り組みやすくするための目安です。毎日30分を確保する計画に変える必要はありません。できなかった週があれば、空欄を責めず次の週から再開します。
| 期間 | 見るところ | 残すメモ |
|---|---|---|
| 1〜7日目 | 普段の業務で力を使えた場面 | 場面・行動・変化 |
| 8〜14日目 | 続けたいことと負担 | 条件3つと理由 |
| 15〜21日目 | 求人の具体的な業務と条件 | 求人2つ・なぜ・未確認点 |
| 22〜30日目 | いまの職場で変えられること | 相談相手か次の確認事項 |
たとえば「会議が苦手」を、「議題がない会議で即答するのが負担」に書き換えると、次に確認することが見えてきます。現職なら事前に議題を共有できないか、求人なら意思決定や情報共有の進め方を聞けないか。苦手を隠すのではなく、働きやすい条件へ翻訳する作業です。
メモには顧客名、社内数値、未公開資料などを持ち出さないでください。個人用サービスへ保存する場合は勤務先のルールを守り、外へ出せない内容は伏せます。「説明資料を改善した」など、具体性と守秘を両立する書き方にしましょう。
条件を求人票の「確認する質問」に変える

条件を3つ書いたら、満たす・満たさないだけで判定する前に、不明点を分けます。「リモート可」は週に何回か、配属後も同じか。「研修あり」はどんな内容で、業務時間内なのか。短い見出しだけでは分からない部分を質問にします。
給与は見出しの上限額だけでなく、自分に提示される条件を確かめる必要があります。固定残業代の有無や内訳、勤務地、雇用形態、試用期間など、生活に関わる項目も確認します。いまの手取りと求人の年収表示を、そのまま横並びにしないようにしましょう。
価値観を言葉にする入口として、米国William & Mary大学キャリアセンターのValues Inventory案内も使えます。職場環境や働き方に関する価値観を整理する公開ワークです。日本の採用制度に合わせた適性判定ではなく、言葉を探す補助として読んでください。
現職の評価面談で使える言い方は評価面談の準備へ。社外の求人と比べたあとに「現職でこの仕事を増やしたい」と分かるのも、情報収集の成果です。
不安や体調の問題は、30日を待たず相談する

眠れない、食事が取れない、出勤前につらさが強いなど、生活や体調に影響している場合は、メモを完成させるより人に相談することを優先します。信頼できる人、産業医や社内相談窓口、公的な相談先など、使える入口を探してください。
働く人向けの相談情報は、厚生労働省の「こころの耳」などでも確認できます。相談できる内容や方法、受付時間は窓口ごとに異なります。この記事で状態を診断したり、記録を続ければ改善すると約束したりはできません。
退職や転職の時期を考える場合も、賞与の支給条件、就業規則、生活費、次の収入までの見通しなどを個別に確認します。一般的な記事の日付を、そのまま自分の退職日にしないこと。タイミングの整理は冬ボーナス前後の転職タイミングも参考にできます。
診断ツールを使う場合は、結果を正解ではなく仮説として扱いましょう。年収や適性の表示だけで応募先を決めず、実際の仕事、労働条件、自分の経験と照らし合わせます。気持ちを急かすような案内は、その場で申し込まず一度離れても構いません。
1行メモを、実際の確認事項にする例
「後輩の相談に乗れた」だけなら、次の週に思い出せないかもしれません。「作業の手順を3つに分けて説明し、後輩が自分で進められるようになった」と書けば、説明や分解の力を使えた場面として読み返せます。数値がなければ、作った数字で埋めず、確認できた変化だけに留めます。
条件の例は「学べる会社」より「初めて担当する業務で、確認先と振り返りの機会がある環境」。求人で気になった理由は「有名だから」より「顧客への説明を担当する業務があり、今の経験を使えそう」です。次の確認事項は「実際に説明を担う割合はどれくらいか」となります。
こうして、場面から条件へ、条件から質問へとつなげます。30日で自分の適職を言い当てる必要はありません。来月は条件が変わっても構いません。記録を残すのは、迷わなくなるためではなく、何を根拠に迷っているのかを分かるようにするためです。
ITエンジニアなら、専門の転職支援を検討する
ここからはITエンジニア向けです。テックゴーはITエンジニアの転職支援に特化したサービスです。公式サービスページのFAQでは、求職者は無料で利用できると案内されています。書類添削、面接対策、条件交渉の支援も案内されています。ITエンジニアとしての経験や相談内容が対象に合うかを確認してから検討してください。選考や交渉の結果が保証されるものではありません。
無料ツールは、記録用1つと見直しの予定だけ

3種類のメモは紙でもできます。デジタルなら次の道具から、すでに使っているものを選びましょう。GoogleキープとNotionを両方使う必要はありません。記録場所を増やすより、見直す場所を1つに決める方が大切です。
使うのは、個人向けの無料の基本機能だけで十分です。Web版の案内と、アプリを使う場合のストアリンクを載せています。有料のAI機能や追加プランを申し込む必要はありません。すでに使っている道具があれば、そのまま代用してください。
Googleキープ(無料の基本機能)

「強み」「条件」「求人」の3枚を作り、週1回だけ追記します。1行から始めやすい道具です。会社の秘密や個人情報は入力せず、メモ自体を応募先へ送る必要もありません。
Googleカレンダー(無料の基本機能)

週1回、自分だけの見直し時間を通常の予定で確保します。仕事用の共有カレンダーでは、予定名や公開設定に注意。できなかった日を埋めるための通知は増やしません。
Notion(無料の基本機能)

無料のフリープランで、求人のURL・理由・確認したい点を一覧にする使い方ができます。高度な機能やAIは不要です。無料プランの制限は公式料金ページで確認してください。
求人の保存機能を使う場合も、保存だけで完了にしないようにします。2件を選び、「なぜ気になる」「何が分からない」を手元のメモへ。使わないサービスへの登録を増やさず、公式採用ページのURLを残すだけでも比較は始められます。
30日後に決めるのは、退職ではなく次の一手

今夜は、強みを使えた場面を1行書く。思いつかなければ、少し負担が軽かった仕事でも構いません。続けて条件の空欄を3つ作り、保存した求人のうち2つだけ残して「なぜ」を添えます。一度に完成させなくて大丈夫です。
30日後は、現職で相談すること、求人で追加確認すること、応募を検討することを分けます。まだ材料が足りなければ、確認事項を1つ決めて翌月へ。毎月同じ不安だけが残るなら、何が分からないのかを誰かと整理する選択肢もあります。
会社が好きでも、別の働き方を考えてよい。いまの会社に残ると決めても、情報収集は無駄ではありません。自分の力がどんな場面で使えて、どんな環境なら続けやすいか。その言葉を持つことを、ゆる転職の最初の成果にしましょう。