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「上がったのに、なんだか納得できない」。その感覚は、あなただけのものではなさそうです。
サスケ(コのほけん!)が公表した正社員500人の調査では、直近1年で基本給かボーナスが上がった人は66.8%でした。一方、責任や業務量に見合った給料だと納得していない人(「あまり」+「全く」)は44.8%。基本給とボーナスがともに上がった175人に限っても、36.6%が納得していません。この36.6%は「ともに上がった175人」に限った数字で、昇給した人全体の数字ではありません。
今日11月7日は立冬です。暖房や冬服、年末の帰省など、冬は出費の見込みが増えやすい時期です。昇給の実感が薄いときほど、感情だけで比べるより、自分の時間単価と冬に増える支出を紙に置く方が扱いやすくなります。
この記事は金融・労務の助言ではありません。およそ15分を計画上の目安に、①自己設計の実質時給、②昇給額・増えた責任・冬の支出の3つの数字、③固定費の確認、を1枚のメモに揃える手順をまとめます。昇給交渉や転職をすすめる記事ではなく、ゴールは定義を揃えたメモを1枚作ることです。
目次
調査が示す「上がったのに納得できない」

一次情報はPR TIMES掲載のリリースです。調査名は「正社員の給料と待遇に関する実態調査」。期間は2026年10月2〜6日、対象は同一の会社で1年以上働く20〜50代の正社員500人です。この記事の想定読者である20〜30代男性だけの数字ではない点に注意してください。転載時のクレジットは「コのほけん!編集部調べ」です。
66.8%の内訳は、基本給・ボーナスともに上がった35.0%、基本給のみ29.4%、ボーナスのみ2.4%です。対象は調査条件を満たす正社員のサンプルなので、「国民の3分の2が昇給した」とは読めません。
納得感は、納得している35.4%(十分5.6%+やや29.8%)に対し、納得していない44.8%(あまり33.2%+全く11.6%)でした。給料が上がっても、責任や業務量の増え方が先に意識されることはあり得ます。ともに上がった層でも36.6%が納得していない、という数字は、分母を175人に限定して使います。
行動に関する設問(複数回答)では、節約62.2%、副業50.0%、固定費の見直し48.8%が上位で、上司・人事への相談は3.4%でした。相談が無意味という意味ではなく、多くの人がまず自分の支出と時間の側から手をつけている、と読めます。この記事も、自分の数字→固定費→必要なら面談、の順に進めます。
年代別や企業規模別の内訳は、この記事では扱いません。気になる場合は、ニュースの要約ではなくリリースの表を直接開き、回答者数とあわせて確認してください。調査の数字は、あなたの職場の評価制度を判断する材料ではなく、「この違和感は珍しくない」と知るための材料です。
| 数字 | 正しい分母 | 使わない読み方 |
|---|---|---|
| 66.8% | 調査対象500人のうち、基本給かボーナスが上がった人 | 国民の3分の2が昇給した |
| 44.8% | 調査対象500人のうち、納得していない人 | 昇給した人の44.8% |
| 36.6%(ともに上がった175人) | 基本給・ボーナスがともに上がった175人のうち、納得していない人 | 昇給者全体の割合 |
| 62.2%など | 行動設問の回答者(複数回答) | 「これが正解の行動」という根拠 |
言葉の整理:最低賃金の時給換算・額面・手取り・実質時給

同じ「時給」でも、測っているものが違います。混ぜると、納得感の説明が崩れます。
厚生労働省の最低賃金の確認方法では、月給制の場合、通勤手当・家族手当・時間外の割増賃金・賞与など対象外の賃金を除いた額を、1か月の平均所定労働時間で割り、最低賃金額と比べます。これは法令を満たしているかのチェックであり、あなたの納得感を測る式ではありません。最低賃金額は毎年改定されるので、地域の金額は確認した日の厚労省ページで見てください。
知るぽるとの給与明細の解説では、総支給額(額面)と、税や社会保険料を差し引いた差引支給額(手取り)を分けて説明しています。生活で実際に使えるのは手取りの方です。昇給額は額面で示されることが多く、手取りの増え方はそれより小さくなるのが普通です。
調査が扱う「実質時給」は、基本給÷実働時間を把握しているかどうか(把握している人は54.2%)という設問です。参考にはなりますが、この記事で出す自己設計の式(手取りベース)とは別物です。
混同しやすいのは次の3つです。最低賃金の確認で使う所定労働時間を、そのまま実質時給の分母にする。額面の昇給額を手取りの増加とみなす。調査の把握率54.2%を、自分の計算式が正しい証拠にする。どれも定義が違うものをつないでいます。
手取りが同じでも、通勤が長い人と短い人では自己設計の時間単価が変わります。だからSNSの時給自慢と並べず、自分の数字の推移だけを見ます。最低賃金を満たしているか気になる場合は、厚労省の手順で別に確かめ、納得感のメモとは分けておきましょう。
| 用語 | 何を測るか | 使う数字 | 使わない場面 |
|---|---|---|---|
| 最低賃金の時給換算 | 最低賃金を満たしているか | 対象賃金・平均所定労働時間 | 納得感の説明 |
| 額面 | 総支給額 | 明細の総支給額 | 生活で使える額 |
| 手取り | 差引支給額 | 明細の差引支給額 | 会社の賃金制度の評価 |
| 調査の実質時給 | 基本給÷実働時間を把握しているか | 調査内の定義 | 自分の試算と同一視 |
| 自己設計の実質時給 | 自分の時間単価の仮置き | 手取りと自分の実働記録 | 法令判定・他人との優劣 |
5分:自己設計の実質時給を出す

ここで使う式は編集部の自己設計です。最低賃金の判定でも、会社の時給制度でも、調査の基本給÷実働でもありません。メモには「自己設計の試算」とラベルを付けてください。
出発点は「月の手取り÷月の実働時間」です。実働時間には、所定時間だけでなく、自分の記録にある残業も含めます。通勤時間や持ち帰り作業を入れるかどうかは自分で決め、一度決めた定義のまま月ごとの推移を見てください。定義を毎月変えると比較になりません。
額面÷所定時間だと最低賃金のチェックに近くなり、納得感の説明には足りないことが多いです。「パートの時給より低い」という比較は感情を動かしやすい一方、賞与や保障、責任の違いがあるため、優劣の断定には使いません。
| 入力項目 | 例(架空) | 注意 |
|---|---|---|
| 手取り月収の平均 | 28万円 | 額面と混ぜない |
| 月の実働時間 | 180時間(残業込み) | 自分の記録。他社と比べない |
| 通勤を入れる場合 | 往復1時間×20日=20時間 | 入れるなら毎月同じ定義 |
| 自己設計の実質時給(通勤なし) | 28万円÷180時間≒1,556円 | 相場判定・保証ではない |
| 自己設計の実質時給(通勤込み) | 28万円÷200時間=1,400円 | 定義で値が変わる例 |
例の数字は架空で、あなたの適正年収を示すものではありません。同じ人でも、通勤を入れるかどうかで150円以上変わります。出た値で「安すぎる」と決めつけず、推移の確認と、次に見る固定費の材料にしてください。
実働時間の記録が曖昧なら、まず2週間だけ終業時刻をメモするところからで構いません。完璧な勤怠データがなくても始められます。分単位まで追うと疲れて続かないので、5分で出せる精度に留めます。
賞与を含めるかどうかも定義の一部です。含めるなら「年間の手取り合計÷年間の実働時間」で「年収ベース」、含めないなら「毎月の生活ベース」とラベルを書いておくと、後から見返したときに迷いません。休憩時間も同様で、入れるなら「拘束時間ベース」、入れないなら「作業時間ベース」と名前を付け、同じ名前同士だけを比べます。自己設計は、就業規則の解釈を置き換えるものではありません。
5分:3つの数字を紙に書く

実質時給のあとに書くのは3行だけです。①昇給前と比べて増えた手取りの額 ②増えた責任・業務を箇条書きで3つ ③冬に増えそうな支出の見込み(暖房・冬服・帰省など)。①は額面ではなく、明細の差引支給額で比べます。3行は完璧でなくて構いません。書けない行があれば、それ自体が「まだ把握していない数字」という発見になります。
責任は「頑張った」ではなく、「週次の報告が増えた」「面談の件数が増えた」のように事実で書きます。評価面談の準備そのものは評価面談準備の記事にまとめています。
3つの数字は、昇給を否定するためのメモではありません。上がった事実、増えた負荷、冬の支出を同じ紙に並べ、どれが気持ちを下げているのかを切り分けるためのものです。上げ分を貯蓄に回すルールはライフスタイルクリープ対策の記事、生活防衛資金の置き場所は普通預金と生活防衛資金の記事へ、と次の読み先も分けられます。
5分:冬の固定費パス

冬は、通信・サブスク・保険に加えて、暖房の使い方が家計を押し上げやすい時期です。環境省のウォームビズは、暖房時の室温20℃を目安に、重ね着など服装の工夫を呼びかけています。暖房を使い始める時期は地域や住まいで違い、東京電力の情報サイト「くらひろ」でも、関東の開始は11月上旬〜下旬が目安とされています。全員が今日いっせいに暖房を入れる、という話ではありません。
服装で体感を整える具体策は、同日公開のウォームビズ重ね着の記事へ。ここでは家計側の確認に留めます。
この5分でやるのは「確認」と「止める・下げる候補の洗い出し」までです。その場で大きな契約変更をすると、考える時間がないまま決めがちです。候補を1つ選んだら公式の解約・変更手順をブックマークし、実行は別の日で構いません。
保険は、見直しで保障が途切れるリスクがあるため、比較サイトの申込ボタンより先に契約概要を確認します。通信も、キャンペーンの条件を読まずに乗り換えると判断を誤りやすくなります。成果は「やめた数」ではなく「確認した項目数」で十分です。
暖房は設定温度の数字だけでなく、フィルター掃除や窓まわり、在室時間の使い方でも体感が変わります。節約額を見積もる代わりに、設定・室温・体感を3行メモする軽い観測にします。
| 項目 | 見る場所 | やること | やらないこと |
|---|---|---|---|
| 通信 | 明細・契約ページ | プランと使用量が合っているか確認 | 当日の機種変更契約 |
| サブスク | クレカ明細・各ストア | 使っていないものを1つ選ぶ | まとめて解約して後悔 |
| 保険 | 保険証券・契約概要 | 保障内容を1行で書き写す | その場での新規加入 |
| 暖房 | リモコン・温湿度計 | 設定と体感をメモ | 節約額の断定 |
1on1で相談するのはいつ?

行動設問で上司・人事への相談を選んだ人は3.4%でした。少ないから「相談しないのが正しい」わけではありません。メモで自分の整理がつけば十分な週もあれば、評価面談の準備が必要な週もあります。
副業の50.0%も行動設問の選択率であり、副業をすすめる数字ではありません。相談するなら、感情の総論より「上がった額」「増えた業務」「知りたい評価の観点」の3点に絞ると話が短くなります。冬のボーナスの使い道は冬ボーナス計画の記事で扱っています。
1on1が怖いときは、まず自分用のメモを完成させてからで遅くありません。材料が揃うまで相談しない、という暫定方針もあり得ます。ただし、法令違反やハラスメントが疑われる場合は、時給メモより社内窓口や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど公的な相談先を優先してください。
無料ツールは「試算・明細・見直し日」に1つずつ

証券口座の開設や有料の年収診断は必要ありません。手元の表と公式の解説ページで足ります。キャリア系の無料診断を使う場合は、結果を事実扱いせず参考程度にとどめてください。
使うのは個人向けの無料の基本機能だけです。Web版の案内と、アプリを使う場合のストアリンクを載せています。有料のAI機能や追加プランを申し込む必要はありません。すでに使っている道具があれば、そのまま代用してください。
Googleスプレッドシート(無料の基本機能)

手取り・実働時間・通勤の扱い・自己設計の実質時給・3つの数字を1枚にまとめます。共有設定は不要です。出た値は自己試算で、相場診断ではありません。
Googleキープ(無料の基本機能)

給与明細をどこに保管したかや、3つの数字の下書きを手で書くメモとして使います(センサーアプリではありません)。明細のPDFや写真そのものは端末の安全なフォルダに置き、口座番号や暗証番号は書かないでください。温湿度や設定温度を残す場合も、実機を見て手入力します。
Googleカレンダー(無料の基本機能)

給料日の翌日など、洗い出した固定費の候補を実行する30分を、通常の予定として1つ入れます。予定名に年収や会社名を入れない方が安全です。
クレジットカード明細でサブスクを洗い出すときは、スクリーンショットを共有フォルダに置きっぱなしにしないでください。手取りと額面の読み方は知るぽるとの給与明細解説を併読すると整理しやすくなりますが、個別の税や社会保険料の計算を代わりにしてくれるものではありません。
今週やること:試算→3つの数字→固定費3項目

今夜は、手取りと実働時間を入れて自己設計の実質時給を出す。3つの数字を書く。固定費は表の4項目から3つだけ確認する。必要なら面談メモを1行足す。ここまででおおむね15分を目安にします(計画上の目標であり、保証の所要時間ではありません)。
まとめです。給料が上がっても納得できないことは、コのほけん!編集部調べの調査でも珍しくありません。36.6%は基本給とボーナスがともに上がった175人に限った数字です。最低賃金の時給換算、調査の基本給÷実働、この記事の自己設計(手取りベース)は別物なので混ぜないこと。先に自分の定義で数字を揃え、冬の固定費は確認から小さく動かす。制度や契約条件の最新情報は、厚労省・勤務先・契約先の公式案内で確認してください。